2020年は、新型コロナウイルスの影響で、大きく社会が変化した1年だといえます。
「コロナの影響で、転職の求人が減っているのではないか」「転職したいけれど、コロナの影響が知りたい」という方も多いはずです。
この記事では、コロナ禍における転職市場の現状や注意点を紹介します。最後には、転職を成功させるコツやおすすめの転職サービスも紹介しているので、参考にしてください。
有効求人倍率・求人数・求職者数の推移

はじめに、有効求人倍率や求人数・求職者数を確認し、転職市場の動向を確認していきます。
なお、ここで紹介するデータは、厚生労働省の「一般職業紹介状況」を参考にしました。毎月更新されるデータのため、最新情報が知りたい場合にはサイトに直接アクセスしてみてくださいね。
(参考:職業紹介-求人・求職・就職 主要労働統計指標|労働政策研究・研修機構(JILPT)一般職業紹介状況(令和2年10月分)について)
2020年2月から有効求人倍率・求人数の減少が続く
2020年2月頃から、新型コロナウイルスの影響が出始めたと考えられます。有効求人倍率・求人数ともに減少し始めました。
それ以降、半年は有効求人倍率や求人数が減少傾向となり、転職には厳しい状況が続きます。今後の見通しが持てないことから、企業も中途採用者を受け入れにくい状況だったといえるでしょう。
2020年9月以降は求職者が増加傾向
2020年12月現在、10月までの調査結果が公開されています。
求人数は去年の水準に戻ることなく、例年よりも低い状態が続いており、転職がしやすい状況だとはいえません。
求人件数は前年の同時期と比べると、23.2%も減少しているのです。
そんな中でも、求職者は増加傾向にあります。2020年10月には、約198万人の求職者がいることが調査で明らかになりました。
前年と比べると16%ほど増加しています。これは新型コロナウイルスの影響を受けて、仕事を探す人が増えていることが要因だと考えられます。
ここまでを読むと、「転職をやめようかな…」とマイナスな気持ちになる方もいるかもしれません。
しかし、コロナ禍で伸びている業界は積極的に求人をかけているところもあります。業界の狙いを定めることで、転職を成功できる確率が高まるのです。
伸びている業界、注目の業界

続いて、コロナ禍でも伸びている業界や注目の業界を紹介します。
結論からいうと、以下の業界がおすすめです。
- 通信・IT業界
- 健康(ヘルスケア)業界
- 教育業界(オンラインサービス関連)
- 小売業界
- 物流業界
詳しく紹介していきます。
通信・IT業界|コロナ禍の重要なインフラ
通信・IT業界は、新型コロナウイルスの影響が出る前から成長している業界でした。それに加えてコロナウイルスによる外出制限などで、さらに需要が高まっています。
インターネット環境の整備はもちろんのこと、会議や連絡が在宅でもできるのは、通信・IT業界があってこそだといえるでしょう。
特に通信・IT業界の中でも、法人向けの業務効率化ソフトを開発している会社は、今後注目しておくのがおすすめ。
印鑑の省略やペーパーレス化など、国で推し進めている施策との相乗効果で、さらなる需要が期待されます。
健康(ヘルスケア)業界|感染症を受け健康に注目が集まる
新型コロナウイルスの影響で、よくも悪くも健康に気を遣う人が増えています。
在宅勤務やお家時間など、自宅で過ごす時間が増えた分、運動量が減少しているという人も多いのではないでしょうか。
自宅での健康づくりを支援するアプリや商品は、今後も需要が見込めますね。
またヘルスケアは感染症による悪い影響は受けにくいと考えられるため、今後の成長性・安定性を考えるのであれば、候補の一つに入れるのがおすすめです。
教育業界(オンラインサービス関連)|新たな教育の機会を提供
教育業界も、新型コロナウイルスの影響を受けて成長しています。
特に、オンラインで提供されるサービスは需要が大きくなっているといえるでしょう。オンラインの個別指導や学習塾などは、コロナ禍で学習するのに必須のもの。
また、お家時間やリモートワークにより余暇の時間が生まれた人が、新たな学習をはじめている場合もあります。そのような需要も取り入れながら、教育業界は成長していくはずです。
これまでオンライン化が進んでいなかった分、成長の伸びしろも大きいのが教育業界です。
小売業界|スーパー・薬局・コンビニは生活に必須
スーパーや薬局、コンビニエンスストアは、新型コロナウイルスの影響を受けにくい業界です。生活必需品を提供しているため、今後も需要は安定です。
さらに、外食などを控える傾向や自宅にいる時間の増加で、必需品の需要は高まっています。特にネットスーパーなどの需要はどんどん高まっていく可能性があります。
物流業界|オンライン通販などの需要増
物流業界は、通販やメルカリなどの個人間取引が増えることで、需要が高まっていました。それに加えて、コロナ禍で外出を控える際に、買い物の手段として通販の需要が更に高まりました。
コロナ禍で通販をはじめて利用した人もいると考えると、需要の高さは今後も続くと考えられます。
国でも「新しい生活様式」として通販を推奨しています。今後も通販のインフラとなる物流業界は、注目しておいて損はありません。
コロナ禍の転職で注意すべき点

コロナ禍での転職は、いくつか注意点があります。
- 在職中の転職活動がベター
- 即戦力が求められる傾向
- 第二新卒は最低半年以上在籍したほうがベター
- オンラインで選考が完結する場合も
以下でくわしく解説していきます。
可能な限り在職中の転職活動がおすすめ
コロナ禍では、2019年までの転職とは異なり、在職中の転職活動がおすすめ。
採用数が安定していないこともあり、業界によっては「なかなか転職先がない」という場合もあるからです。
じっくりと転職先を検討できるよう、可能な限り在職中に活動を開始しましょう。
もしも退職後に転職活動をする場合には、「早く決めたいから」と焦るのは禁物です。焦って転職先を決めてしまうと、転職先で不満を抱えてしまう可能性が高くなります。
「前の会社のほうがマシだった」「他の会社に応募しておけば…」という後悔をしないためにも、自分の軸をもって転職活動をすることをおすすめします。
即戦力が求められる傾向にある
コロナの影響で、企業は変革を求められています。そのため、中途採用では即戦力を求めている会社が増えている点にも注意しておくと良いでしょう。
即戦力というと、今の職場と同じ業種・職種を選ばなければと思う方もいるかもしれませんが、そうとは限りません。自分の経験やスキルを活かせる職場は、異業種にもある可能性があります。
コロナ禍で会社を続けていくために、新たな部署の立ち上げをしている企業もあるはずです。そういった企業の場合、求めているのは他業種での経験という可能性もあります。
そのような企業に応募すれば、あなたの価値が最大限に生かされるでしょう。
第二新卒を狙う場合には、半年以上在籍してから
第二新卒で転職を希望している場合には、少なくとも半年以上在籍してから転職することをおすすめします。
第二新卒の募集は近年増えているとはいえ、在籍期間があまりにも短いとマイナスな評価となることもあるでしょう。
もちろん「今の会社がブラック過ぎて耐えられない」という場合には、半年以内でも転職活動をはじめたほうがいいです。あくまでも、半年というのはめやすとして考えてください。
オンラインで選考が完結する場合も
コロナウイルスの影響で、選考活動もオンライン化が進んでいます。面接がオンラインになるだけでなく、選考自体がオンラインで完結する場合もあります。
オンライン選考のメリットやデメリットは、次の見出しで解説していますので、選考に進む前に参考にしてみてください。
転職業界の現状

コロナウイルスの影響で、転職業界にも変化が起きています。ここでは、特に転職活動のオンライン化に絞って紹介します。
リモートで転職サービスが提供される場合も
転職エージェントなど、対面でサービスが提供されている場合には、一部がオンライン化されている場合があります。
そのため、一部サービス内容が変わっている可能性もあるので注意してください。
多くの場合は、初回のキャリアカウンセリングをオンラインまたは電話で行うようになっています。対面と全く同じような質のサポートが受けられる場合が多いですが、念の為利用前にエージェントのWebサイトを確認するのがおすすめです。
選考自体もオンラインで完結
さきほども紹介したように、選考自体もオンラインで完結してしまう場合があります。
ここでは、オンライン選考のメリットやデメリットを紹介していきます。
移動時間がかからない点がメリット
転職活動をしていると、どうしても移動時間がかかってしまいます。
しかしオンラインで選考が行われれば、移動時間が不要になるのです。
複数社の面接を並行する場合や、仕事の休暇をとる場合なども、オフラインの場合に比べて時間のやりくりがしやすいです。
場合によっては、昼休みの時間に選考を実施してもらえることもあるかもしれません。スケジュールの管理がしやすい点が、オンライン選考のメリットだといえるでしょう。
社内の雰囲気がつかみにくい点に注意
オンラインで選考が完結する場合、入社まで社内に出向けない可能性があります。
そうなると、会社の雰囲気がつかみにくいままになってしまいます。
どうしてもオンラインだけでは雰囲気がわかりにくい点をしっかり踏まえて、選考を進めていくことをおすすめします。場合によっては、面接で採用担当者に質問を多く投げかけるのもよいでしょう。
転職を成功させるには?

転職を成功させるためには、2つのポイントをおさえておくのがおすすめです。
- 自分の強みを意識する
- 転職先を決めるときには焦らず
以下で詳しく紹介します。
自分の強みを意識した転職活動
まずは、「自分の強みはどこか」をきちんと見定めましょう。コロナの影響の有無にかかわらず、自分の強みが意識できている人は転職に強いです。
他社でも通用する自分のスキル・経験があるかどうか考え、企業にアピールしていきます。自分の強みがわからない場合には、自分のできることを書き出すことからはじめてみてください。
焦らず転職先を見定める
コロナ禍の転職では、「転職先がなかったらどうしよう」「とりあえずこの会社にしておこう…」などと転職先を焦って決めたくなるものです。
しかし、そのような気持ちで転職活動を進めるのはおすすめしません。
あくまでも「自分の条件に合う転職先があれば転職する」という前提を忘れないようにしてください。転職は、あなたがよりよい環境や自分のスキルを活かせる環境に移るためのものです。
完璧な職場はありませんが、少なくとも自分の良いと思える職場と出会えるまで、じっくりと転職活動を進めていくのがおすすめです。
おすすめの転職サイト・エージェント

最後に、本記事でおすすめしたい転職サイトやエージェントを3つ紹介します。
転職エージェントは、個人との相性で満足度が大きく変わります。エージェントの変更もできますが、複数のサービスのエージェントとやりとりをし、あなたに合ったサービスかどうか見極めるのも良いでしょう。
転職サイトの場合は、サイトによって求人に違いも出るため、抜け漏れが無いように複数にわたってチェックしておくのが安心です。
転職エージェント
リクルートエージェント
年齢層 | 20~40歳以上 |
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取扱業種 | 総合型 |
掲載求人数 | 209,978件 ※非公開含む |
店舗 | 全国16店舗(東京、埼玉、千葉、栃木、神奈川、大阪、京都、兵庫、名古屋、静岡、北海道、宮城、岡山、広島、福岡) |
運営会社 | 株式会社リクルート |
リクルートエージェントは、リクルートグループが提供する転職エージェントです。コロナ禍での転職活動を支援するために、電話やメールなどを積極的に活用してサービスを提供しています。
そんなリクルートエージェントの強みは、転職支援実績ナンバーワンであること。非公開求人が2020年8月時点で10万件以上あるため、求人の多さが魅力です。
そのほか転職をサポートするアドバイザーも、各業界に精通した人がそろっています。そのため転職エージェントで迷ったら、リクルートエージェントがおすすめです。
マイナビエージェント
マイナビエージェントは、はじめての転職の方におすすめのエージェントです。20代からの信頼も厚く、「20代に信頼されている転職エージェント」にも選ばれています。
コロナ禍の対応として、Webツールなどを用いながらサポートをしてくれるため、安心してサポートが受けられるのが強み。
はじめての転職など、社会人経験が少ない場合でもサポートが充実している点もおすすめポイントです。
はじめての転職で不安な方は、マイナビエージェントを活用するとよいでしょう。
doda
dodaはパーソルキャリアが運営する転職支援サービスで、リクルートには及ばないものの、求人数と転職支援実績ともに国内最大級の実績をもっています。リクルートと差別化するために、キャリアアドバイザーの質を常に向上させていたり、転職者の悩みに寄り添いスピード感をもって対応する姿勢を大切にしています。
転職者(登録者)の経歴や価値観を深くヒアリングするところから始め、丁寧な求人紹介、応募書類の添削、面接対策などを、担当アドバイザーがフルサポートしてくれます。担当アドバイザーとはLINEでやりとりができ、困りごとや相談などを気軽に相談できる環境で、親身かつスピーディーなサービス対応を受けられます。
転職サイト
リクナビNEXT
年齢層 | 20代~40代。第二新卒からマネジメント層まで利用可能で、そのうち39歳までの利用者が全体の約6割。 |
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取扱業種 | 全職種 |
掲載求人数 | 公開求人は約45000件(2020年9月現在)、非公開求人はデータなし |
店舗 | 全国25都市に拠点あり |
運営会社 | 株式会社リクルート |
リクナビNEXTは、転職初心者が最初の一歩として登録すべき転職サイトとしておすすめです。求人数も転職決定数も、国内トップレベルの水準で確固たる地位を築いています。
doda
dodaは、転職サイトの中でも検索がしやすいサービスを提供しています。
年収や勤務地などの条件を選べば、何件の求人があるかすぐにわかるようになっているため、「コロナ禍でどのくらいの求人があるんだろう」と試しに調べたい方にもおすすめ。
さらに、転職サイトとしては珍しく、チャットで転職相談ができるのもポイントです。転職エージェントほどののサポートはいらないが、相談はしたいという方はdodaを活用するとよいでしょう。
まとめ
今回は、転職活動におけるコロナの影響について紹介しました。
ポイントをまとめると以下のようになります。
- コロナの影響は求人件数の減少
- 即戦力人材が求められる
- 採用方法がオンライン化している場合も多い
この記事を参考に、転職活動をすすめてみてください。