転職を考えたら、まずは転職活動の流れと進め方を理解し、全体像を把握しておくことから始めましょう。転職活動には入社までいくつものフェーズがあり、活動期間は数か月にもなります。
この記事では転職活動初心者の方に向け、転職活動の大まかな流れと、フェーズごとに気をつけるべき点について解説していきます。
転職の大まかな流れと、平均期間

新卒時の就職活動と転職活動では、スケジュールの立て方が全く異なります。
転職活動の平均期間は3~5ヵ月程度
新卒時の場合は卒業の1年以上前から就職活動を始め、卒業した年の4月1日に入社するのが一般的です。ですが転職の場合、入社日は随時、選考スピードも新卒時より格段に早くなります。
特に30代前半までの若年層は、どの企業でもメインターゲットになっているため、他の年代と比べて早く内定が出やすい傾向にあります。活動開始から内定まで1~3ヵ月、内定日から2ヵ月以内に入社するというのが、20代の平均的な活動期間です。
まれに「内定後2ヵ月では引き継ぎが終わらないので入社できない」「できることなら賞与をもらってから辞めたい」といった理由で、半年以上先の入社を希望する人がいますが、これは難しいリクエストかもしれません。
半年先ともなると企業側からすれば社内異動で人員補充するという選択肢も生まれますし、早く入社できる他の候補者を優先してしまうかもしれません。「いつごろの入社を目指すのか」を考えた上で、逆算して転職活動をスタートさせましょう。
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現職中と離職中のどちらがいい?
「離職中の方が明日にでも入社できるため選考に有利である」これはよくある誤解です。急募でもない限り、1ヵ月~2ヵ月程度であれば企業は入社を待てるので、人事担当者はなるべく現職中の人を採用したいと考えています。
離職者を敬遠するのには訳があり、よく聞かれる理由は以下の3点です。
- 転職活動に計画性がないのではないか
- 仕事の勘が鈍っていないだろうか
- (離職期間が長い場合)どこからも内定をもらえない人なのだろうか?
企業によっては、離職中というだけで書類選考を不合格にするところもあります。書類審査がなかなか通らないと、経済的・精神的にも焦りが生まれて、どこでもいいからエントリーするといった事態に陥りがちになります。
そういったリスクを避けるためにも、できる限り現職中というステータスのうちに活動を行いましょう。Uターン転職など引っ越しを伴う転職活動においても、有給を使って面接を受けにいくなど可能な限り現職中の活動をおすすめします。
求人探しから、内定・入社までの流れ
転職をすると決めてから、実際に新しい会社に入社するまでには、大まかに分けて10の活動フェーズ(段階)があります。おおよその目安期間は以下の通りです。
STEP1からSTEP3を経たあとは、応募企業ごとにSTEP4~STEP8を繰り返します。
転職時の平均応募数はどれくらい?
35歳以下(若年層)の転職は、業界や職種にもよりますが書類選考の通過率は3割~4割、一次面接の通過率も3割程度と言われています。ここから計算をすると、1社内定を得るためには10社の応募が必要ということです。
比較検討のために複数の内定をもらいたいならば、20社以上書類応募を行い、6~8社面接に行くイメージでいるとよいでしょう。
複数応募をすると面接のスケジューリングに苦労しますが、面接は回数をこなせばこなすほど内容をブラッシュアップできますし、聞かれる質問は各社似ているので次第に慣れていきます。面接官との会話の中で自分の市場価値が分かったり、意外な評価をもらえたりと思わぬ気づきが得られることも多々あります。
様々な企業との出会いを楽しみながら、転職活動をすすめていきましょう。
(参考:マイナビ転職「低金応募者数や選考通過・内定の確率はどれくらい?」)
転職するのにベストなタイミングは?
せっかく転職活動をするなら、求人が多い時期に開始したいもの。では求人が多くなる時期とは、一体いつでしょうか?
まず、企業が中途採用を行う背景について考えてみましょう。どの求人も、次のどちらかに該当します。
- 欠員募集
- 増員募集
何らかの理由で退職する社員がいて、その補充という形で中途採用するのであれば、①の欠員募集という形になります。欠員募集の特徴は、なるべく早めに入社してほしいというリクエストを企業側がもっている点です。企業側からすると、退職予定の社員が在職中のうちに入社し、引き継ぎを受けてほしいと考えているのです。
一方で事業好調につき増員するといった場合や、新規事業開始に伴いスタートアップ人材を集めるといった場合は②の増員募集にあたります。こちらは入社時期の調整が比較的に柔軟に行われます。
①を背景にした採用ニーズは、やはり年度末に退職が集中しやすいこともあり、冬の1月~4月1日入社となる求人が増える傾向にあります。その反動で、新年度が始まったばかりの4月5月6月は一旦減少します。
②に関しては月ごとに顕著な特徴はないのですが、しいていえば、こちらも10月・4月など新しい期が始まる時期にやや増加するという傾向が見られます。
希望入社月から逆算したスケジュールを考えよう
繁忙期の退職は、いま務めている会社に迷惑をかけてしまいます。できる限り閑散期に退職するなど、現職企業にも配慮しましょう。
「年中繁忙期で辞めやすい時期などない」という人は、年度末や半期末などキリのよい時期を選びます。期が変わる時は組織体制の変更もしやすいので、後任を社内異動で補えるなど、企業側の負荷をわずかでも減らせます。
転職活動には計画性が必須です。希望入社日から逆算して転職開始時期を決めていきます。例として、4月1日の入社を目指す場合の大まかなスケジュールを考えてみましょう。有給消化を希望するのであれば、2月末か3月中旬ごろを最終出勤日とする必要があります。
引き継ぎに1ヵ月、転職活動に2ヵ月と見積もると、11月中には応募書類の作成や求人選定に入っておかなければいけません。お正月休みは面接対策に充てるなど、早め早めの行動計画をたてておきましょう。
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転職活動の事前準備

転職活動というと面接対策ばかりに集中しがちですが、転職してどうなりたいのか、他社で自分はどんな貢献ができそうか、応募前の自己分析も非常に重要です。
応募を始める前の事前準備が重要
「準備8割」という言葉があるように、何事も成功するかどうかは準備で決まると言います。
転職成功を「転職先の環境に満足し、生活の質全体が向上する」とするなら、どんな環境なら満足か、まずは自分を知ることからスタートしましょう。
おすすめの方法は、下記の4つの手順を踏むことです。
- 転職すべきかどうかの見極め
- 転職することで実現したい環境とは
- 自分の強み分析
- 希望条件の整理
あまり難しく考えずに、それぞれ自分自身が納得する答えを用意できたら、一旦準備完了です。もちろん活動途中で考えを変化させても問題ありません。
転職する理由を明確にする
なぜ今、転職しようとしているのか、その理由は明確になっていますか?またその解決方法は、転職する以外にないものでしょうか?目の前の不満を解消したい気持ちはとてもよく分かりますが、今は辛くても、現職で乗り越えることで大きな成長に繋がる例もあります。
転職をしてもそれはそれで大変なことが多く、例えば新しい業務・新しい人間関係などに慣れるまで精神的・体力的に一時的に疲弊するのは間違いありません。仮に、転職をすることによってその理由が解決したとしても、新しい悩みが転職先で出てくる可能性もあるでしょう。一度転職をすると職を変える抵抗感が薄れてしまい、次の職場の不満や仕事で壁を感じた時などに、再び転職しやすくなるといわれています。
転職が続くと経歴が荒れてしまい、本当に就きたい仕事や企業が見つかった時に後悔するかもしれません。安易な転職を繰り返さないためにも、転職することで自分は何を求めたいのか、しっかりと時間をかけて明確にしておきましょう。
転職時の自己分析は時間をとって入念に
自己分析が必要である理由は2点です。
- 自分に合った求人を探す手がかりになる
- 職務経歴書などの応募書類作成や面接対策に応用できる
自分にあった求人を探すためには「自分がどんな時にやりがいや喜びを感じるか」「職場が変わっても発揮できる自分自身の強みは何か」を理解することが不可欠です。これまでのキャリアを丁寧に振り返って、具体的な仕事内容を細かく書き出していきましょう。
いつ/誰と/何を/どれくらい/どのように取り組んできたのか、それらの業務を通じて自分はどんなスキルを得られたのか、このスキル部分をどれだけ言語化できるかが自己分析の肝です。
スキルには沢山の種類があります。提案力、ヒアリング力、改善力、交渉力、企画力、段取り力、名前を付ければどれも立派なスキルです。自分を表現するボキャブラリーを沢山持っておくと、それが求人を探すときにヒントとなり、面接対策では自己をPRする大きな武器となります。
転職活動というと、求人選定や面接対策ばかりに力をいれてしまいがちになりますが、それ以前に大切なのが自己分析です。活動を本格化させるその前に、自分の職歴やスキルについて棚卸しする作業は必ず行いましょう。この過程を省略すると転職先を直感で選[…]
求人を応募する前に、希望条件の整理をする
残念なことに、転職をした人の3割弱が転職を後悔しているというデータがあります。
(参考:転職会議REPORT「なんと転職者全体の4人に1人が転職したことを後悔!!転職に失敗してしまう理由とは?」)
理由の多くが職場とのミスマッチ、すなわち「思っていた職場環境と違った」ようですが、なぜそのようなことが起こるのでしょうか?
転職サイトに掲載されている多くの求人は、求人専門の専属ライターが取材をもとに製作したものです。彼らは求人を魅力的に書くプロですし、求人票とは求人広告でもあるため、基本的に良いことしか書かないものです。
自分の転職理由を解消できる職場かどうか、なりたい自分を叶えられる環境かどうかしっかり考えず、キャッチーな文章につられて安易に応募をしてしまうと、入社後のミスマッチが起きやすくなります。
自分の求める職場環境をしっかりと整理し、それに当てはまる求人かどうか、慎重に求人を選びましょう。
働き方ばかりに目をむけない
残業時間や有給取得率などワークライフバランスは、長期的に働く上で重要な項目です。ましてや転職理由が、業務過多・労働時間に関するならば、ここにこだわるのは当然。
しかし、その項目を企業選びにおいて一番の軸にするのはおすすめしません。というのも、残業時間の少なさや休みやすさは、働くうえで長期的なモチベーションになりにくいからです。入社して数か月は管理された環境に満足するかもしれませんが、時間とともにその気持ちは薄れ、いつしか当たり前になってしまいます。
同様に、給与など待遇面も長期的なモチベーション維持につながりにくいとされており、これだけで企業選びをするのは避けたいところです。
希望条件には「自分が働くことで、誰にどんな貢献をしたいか」「仕事面でどんな成長を遂げたいか」など、業務内容における自分なりのビジョンともいうべき希望を必ず1つ以上含ませた方がよいです。
応募書類を準備しよう

一通りの準備を終えたら、応募書類の作成にとりかかります。
転職活動にはPCがあった方が便利
最近自宅にPCを持っていないという人が増えています。スマホがあれば、日常生活でたいていのことは事足りるため、PCの必要性が薄れつつあるようです。
転職活動もスマホやタブレットだけでも平気ですが、応募書類の作成やWeb適性検査の受検などは、PCで操作した方がぐっと効率があがります。自宅にPCがない人は、ネットカフェなどを利用して準備をすすめましょう。
転職時に必要なのは履歴書と職務経歴書
中途採用における書類審査で求められるのは次の3点です
- 履歴書
- 職務経歴書
- ポートフォリオ(クリエイティブ系職種のみ。これまでの作品をまとめた資料)
転職サイトや転職エージェント経由で応募する場合、サイトに入力した個人情報を履歴書の形(キャリアシート)に出力できるので、応募時点で新たに用意する必要はありません。職務経歴書も、例えばリクナビNEXTなど大手転職サイトには、職務経歴書を作成する機能が用意されているので、そちらを利用すれば大幅に作成時間を短縮できます。
転職活動では、新卒時の時に書いたES(エントリーシート)のようなものは不要です。履歴書も職務経歴書もPC作成したもので提出可能なので、一度土台を作ってしまえば、企業別に微修正を加えるだけで応募できます。
履歴書と証明写真の準備について
ハローワークなどで見つけた企業から応募時に履歴書を求められたら、「手書き履歴書」との指定がない限り、PC作成の履歴書で問題ありません。
ネット上には沢山の無料フォーマットが出回っているので、そのひとつを選んで作成します。ただしPC作成でも、写真は別途添付する方が良いでしょう。転職活動では、どこかのタイミングで証明写真が必要となる時が必ずやってきます。
写真屋さんに行けば15分程度で撮影ができ、価格も2000円以下で、紙とデータが両方手に入ります。写真屋さんにいく時間が取れない場合は、スマホカメラのセルフタイマー機能を使って自宅の白壁をバックに撮影したものでも大丈夫です。画像を証明写真のように切り取りし、保存したあと、セブンイレブンのコピー機(200円)で印刷をします。
写真は第一印象を左右するものですから、スーツを着用し、できるだけにこやかな表情のものを用意しましょう。
手書きの履歴書を指定されたら、市販の履歴書を購入します。特別指示がないのであれば大きさはA3でもB4でもどちらでもよく、黒の万年筆かボールペン(サインペン不可)で書いていきます。学歴や職歴の年は西暦で記載しましょう。
転職活動において、履歴書や職務経歴書について不安を抱えていたり、疑問を持っている方はいませんか?特に初めての転職だと、いろいろな事が不明瞭だと思います。この記事では、そんな方に向けて下記について詳しく紹介していきます。 履[…]
職務経歴書で確認されるポイント
職務経歴書は履歴書だけでは不足している情報、すなわち職務内容について詳しく補足する書類です。面接官は職務経歴書を読んだうえで、面接に呼ぶかどうか、つまり会うかどうかを決めます。
転職活動における最初の関門ともいうべき書類審査ですが、実は面接官が一人の職務経歴書を読む時間はたったの2~3分といわれています。面接官はすべての文章を熟読しているわけではなく、仕事内容や実績、スキルを示すキーワードを見つけて、自社に適した人材かどうかを瞬時に判断しているのです。
そのため沢山書いたからといって合格しやすいわけでもなく、分量はA4で2枚から3枚程度、適度に余白を入れ、強調したい部分を太字にするなど、読みやすさを追求することの方が大切です。
盛り込むべきは、下記7点です。
- 作成日
- 氏名
- 職務要約
- 勤務先情報
- 詳細な職務内容(部署ごと)
- 自己PR(エピソード)
- その他資格
人事が必ずチェックしているのは、詳細な職務内容と自己PR。日々の具体的な業務内容を細かく記載し、可能であれば実績も記載しましょう。自己PRでは、自己分析で出しておいたスキルキーワードのうちから2~3つを選んで、それぞれ証明する具体的なエピソードを添えておくとよいでしょう。
求人を探して、応募してみよう

自分にあった求人をどのように探すのか、求人媒体にはいくつか種類があります。
転職エージェントから求人紹介を受ける
転職エージェントとは、転職に関するあらゆる相談にのってくれる企業のことです。相談をきっかけに、自分に合った求人の紹介から内定までのサポートをワンストップで行ってくれます。
登録はWebで行い、利用料は一切かからず完全無料です。転職理由や求める希望条件を伝えると、自分専属のキャリアアドバイザーが自分に合った求人を厳選して紹介してくれる仕組みです。
当サイトでおすすめしている転職エージェントはリクルートエージェント。国内最大級の転職エージェントなので、登録しておいて損はありません。他にも幅広く抑えておきたいなら、dodaエージェントやマイナビエージェントなどにも登録しておくと安心です。
転職サイトから応募する
転職サイトとは、求人検索から内定を得るまで一連の転職活動を自分自身で進めていく、オンライン上の転職支援サービスです。利用料は無料で、誰でも利用できます。
登録をすると自分だけの会員専用ページ(マイページ)が与えられるので、そこで求人検索や応募などを進めていく形です。転職エージェントでは、どちらかというと自分の経験を活かせる仕事を紹介される傾向が強く、未経験で受けられる求人紹介は少ないです。ですが転職サイトでは、自分の好きな求人に自由に応募できます。
未経験を含め好きなように検索・応募ができるので、業界・職種を変えて挑戦してみたい人はこちらで求人を探してもよいでしょう。
おすすめの転職サイトはリクナビNEXT。地方求人まで幅広い求人が揃っているので、数多くの選択肢から選びたい方にはピッタリです。転職エージェントと併用するなら、エージェントサービスもあるdodaやマイナビ転職もあなたの手助けになるはずです。
ハローワークを利用する
ハローワークは正式には公共職業安定所とよばれ、全国各地500ヵ所以上の場所に開設されています。
国の公的組織として企業と転職希望者の仲介を無料で行っています。民間の転職エージェントとの決定的な違いは、求職者だけでなく企業側も利用料がかからない点です。
地方の中小企業では大企業ほど採用にお金をかけられないため、まずはハローワークに掲載する企業が少なくありません。転職サイトと比較すると給与水準などの雇用条件が若干低いという傾向はありますが、地方都市で転職を考えている人は、必ず一度は求人をチェックしてみましょう。
転職サイトやエージェントでは見つけられない、そこにしか掲載されていない地方の優良企業を見つけられるかもしれません。またハローワークには、その土地の転職事情に明るい相談員が常時在籍しており、予約なしに訪問ができることも魅力のひとつです。
会社のWebサイトから直接応募をする
以前から気になっていた企業など、特定の企業に興味を持っている場合は、会社のコーポレートサイト内の採用ページにアクセスしてみましょう。中途(キャリア)採用のページがあれば、そちらで現在募集中の職種があるかチェックします。
転職エージェントや転職サイトに掲載せずに、会社サイトだけにひっそりと載せている理由としては、そこまで採用を急いでいないなどが考えられます。一方で、自社サイトからの応募ともなれば採用コストもかからないため、多少未経験であっても興味を示してくれる可能性もあります。
採用ページがなかったとしてもあきらめないでください。強い興味をもっているのであれば、企業に直接電話をかけ、自分の簡単な自己紹介をした上で「履歴書だけでも見ていただけないでしょうか」と打診をするのもひとつの方法です。本当に行きたい企業なら、行動してみましょう。
最近話題のリファラル採用とは
ここ数年の間で、リファラル採用という新たな採用手法が企業に取り入れられています。
リファラル採用とは、社員が自分の友人・知人に自分の会社の魅力を語り、応募意志を確認した段階で人事に推薦するという手法です。転職希望者からすると、実際そこで働く社員から仕事のやりがいや大変さについて本音を聞きミスマッチを防げる、知り合いがいるため安心感をもって応募できるなどのメリットがあります。
転職活動中であることを友人達に言えるのであれば、積極的に公開し「うちの会社はどう?」と声がかかるのを待ってみたり「良い会社はない?」と尋ねてみるのも面白いかもしれません。
面接対策を始めよう

数社応募を始めたら、結果が来る前に面接の準備をスタートさせましょう。面接準備は面接前日に一夜漬けでできるものではないので、最低でも2~3日まとまった準備時間の確保が必要です。
転職面接では、流れと質問がある程度決まっている
転職面接では集団面接というものがほとんどなく、最初から1対1の面接で、流れと質問内容が決まっています。
今後わが社のような○○業界はどう変化していくと思いますか?といった難問はありますが、新卒時の就職活動で聞かれたような「あなたの人生を一言で表してください」「無人島にいくことになったら何を持っていきますか?」といった奇問はありません。
大部分がこれまでの職歴と職務内容に関する質問です。各社で聞かれる質問が重複しているので、対策しやすいともいえますね。
面接は、転職における山場といっても過言ではありません。流れをあらかじめ理解しておいて、しっかりと対策をしておけば内定にもグッと近づきます。この記事では、下記について詳しく解説していきます。 一般的な面接の流れと所要時間について[…]
転職面接でよくある質問best7
転職の面接で頻出の質問は下記7つです。
- 自己紹介
- 今回の退職理由
- 職務内容・実績・一番頑張ったこと(辛かったこと)について
- 志望理由
- 自分の長所(強み)・短所(弱み)をどう捉えているか
- 入社後について(退職日や入社日の確認)
- 面接官への質問コーナー
一次面接は約60分かけて行われます。最初の50分が面接官から応募者に対する質問(①~⑥)、残りの10分ぐらいになったところで、「○○さんの方から当社に対して何か質問ありますか?」といった逆質問タイム(⑦)が設けられます。
逆質問は必ず2,3つ質問を用意しましょう。会社の展望や評価制度などについて質問するようにします。
どんな質問でも、結論から話そう
一生懸命準備した人にありがちなのですが、例えば長所を聞かれたときに、
「Aの部署では、Bという状況が続いており、Cの部分が特に大変だったのですが、たまたまDということもあり、なんとかEは乗り越えられたのですが、Fに関しましてはまだGの状態で、それでHを頑張ろうとしまして…」と一度も文が切れずに、延々と話を続ける人がいます。
面接は発表会ではなく会話をしにいく場所です。どんな質問でも、結論を先に話す、文を短く切って話す、ということを強く意識して回答しましょう。
「私の長所は○○です。といいますのも○○の際○○を実現した経験があるからです。具体的な状況としましては…」と話せば、面接官も理解しやすいはずです。どんなに長くても、1分以内に回答がおさまるよう、話す内容のボリュームを調節しておきましょう。
職務経歴や自己PRの伝え方
新卒時はまだ誰も働いた経験がないので、やる気や意欲を伝えると好印象につながりますが、転職の場合は精神論をベースとした自己PRは逆効果です。
企業が中途入社者に求めるのは即戦力ですから、重視するのは職務経験の中で得た実績やスキルです。具体的にどんな状況の中で、どのような工夫をして、どれくらいの実績に繋がったか数字や固有名詞を入れて説得力を持たせます。
営業であれば顧客先や前年比などをいれたエピソードが好まれますし、ITエンジニアであればどの工程を担当し、どんな課題をどのように解決したか課題解決のエピソードが好まれます。これまでの努力と実績を相手にしっかり伝えるためには、数字や固有名詞などの具体的な情報を意識的に盛り込んでいきましょう。
適性検査の準備も忘れずに
約半数の企業が、中途採用時になんらかの適性検査を実施します。実施時期は書類審査通過後の一次面接前か、二次面接前がもっとも一般的です。企業によって適性検査の中身は様々ですが、大きくわけると次の2つです。
- 適性検査専門会社が作成した検査(SPI3・CAB・GAB・SCOA・CUBIC・玉手箱など)
- 企業が独自に作成した検査
約9割の企業が①を採用しており、職種問わず多くの企業で実施されているのがSPI3と玉手箱です。IT関連職の場合はCAB・GABの実施率が比較的高めです。これらの試験はネット上にある無料問題や、市販の対策本で傾向を掴んでおきましょう。Web受検の場合は、案内が届いてから3日~7日間の受検期間が設定されていることがほとんどですので、期間内の時間を有効に使って対策をすすめてください。
特にSPIは出題分野や問題の傾向が限定されているので、直前に過去問題を解いておけば、得点を大きく伸ばせます。ただし企業が重視しているのは、学力試験とセットで行われる性格判断テストの場合も多く、こちらの方は明確な対策方法がないため適性検査が通過するかどうかは半ば運と言ってもいいでしょう。
②に関しては、漢字や計算問題とあわせて時事問題がよく見受けられます。時事問題といっても「現在の内閣総理大臣の名前は?」といったレベルであることが多く、日ごろからニュースに接していれば解ける問題ばかりです。
適性検査の受検方法には、
- 自宅で受検
- テストセンターで受検
- 企業オフィスで受検
の3種類がありますが、新型コロナウィルスの感染拡大により注目されている新しい生活様式に合わせ、自宅で受験できるWebテストに切り替えている企業が増えています。
転職エージェントを利用すれば、その企業に合った面接対策を無料で実施してもらえます。回答の添削や電話での練習に応じてくれますので、自分で用意した回答を事前にチェックしてもらいたい場合には、是非転職エージェント経由で求人を受けましょう。
内定~退職手続きで注意すべきこと

内定が出たらホッと一息つきたいところですが、内定から入社までにやっておきたいことは意外とたくさんあります。
内定から入社までの流れとは
内定をもらって入社を決めたら、他に応募しているところに辞退連絡を行います。この時点で転職活動がひとまず終了となりますが、現職中の場合はすぐに退職交渉、引き継ぎと順番にすすめていく必要があるので、忙しい日々はしばらく続きます。
数日にわたる退職交渉で疲れが抜けきらない中、今度は社内への引き継ぎ・取引先への挨拶まわり・送別会など、息つく間もないほど様々な業務が待っています。それと同時並行で進めなくてはならないのが入社準備。
入社先への提出書類を揃えたり、健康診断の受診が必要です。内定から入社まで45日から60日程度間を空けていても、入社日までかなり多忙な毎日となるでしょう。
内定通知書でチェックすべきこと
企業には、採用する人に対して労働条件を通知する義務があります。しかし未だに地方の中小企業などは、内定や入社条件を口頭で伝えているケースがあるようです。
入社後のトラブルで特に多いのが待遇面に関すること。「そんな規則だったとは知らなかった」「聞いていた話と違う!」ということにならないよう、必ず「内定通知書」「雇用条件通知書」といった文書を発行してもらいましょう。書面内で確認すべきことは下記5点です。
- 雇用形態など労働契約の期間に関する事項
- 所属部署、場所、仕事内容に関する事項
- 勤務時間、休憩時間、残業時間、休日・休暇に関する事項
- 想定年収など給与に関する事項
- 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
求人票の中では、給与は月収○万円~○万円という幅のある書かれ方になっています。現職(前職)の給与額と面接での評価を踏まえ、内定時に正確な金額が通知されます。希望の年収に届いていない場合は、内定前後のタイミングで給与交渉を行うという選択肢があります。
ただし、全ての人が成功するとは限りません。企業側の採用熱度が高い、自分のスキルや経験が即戦力として生かせるなどの場合のみ、うまくいくと考えたほうがよいでしょう。仮に給与交渉が成功したとしても、求められる期待値や目標設定も高くなります。そのプレッシャーを受け止め、成果を出せるかどうかも含め、よく考えたうえで交渉しましょう。
入社するより、辞めるほうが大変!退職交渉の進め方とは
どの企業でも慢性的な人手不足ということもあり、退職交渉が難航するケースが増えています。まず直属の上司に個別面談を申し込み、退職の気持があることを直接伝えるのが最初の一歩となりますが、最初の面談で退職が了承されるのはめったにありません。
退職理由や次の就職先が決まっているかなど、細かいヒアリングを受け、「できれば残ってほしい」と強く引き止められます。君のことを高く評価していた、近い将来昇進・昇格を予定していた、など予期せぬ話が出てきて気持が揺らいでしまうこともしばしばあります。
しかし、そこで転職自体を取りやめにしないよう気をつけてください。現職に残ったところで、「過去に一度辞めようとし人」というレッテルがずっとついてまわり、重要な仕事を任されなくなる、懲罰人事的な扱いを受けたなどの例もあります。退職交渉は不退転の覚悟で行うべきであり、言い出したからには絶対に退職するつもりで進めてください。
退職交渉をうまく進めるためには、最初の切り出し方が肝心です。「退職させてほしい」というと、退職を許可する・しないが論点になってしまうので、「退職の気持ちは固い。退職日をいつにするかの相談をしたい」とスケジュールの問題を論点にしましょう。企業側(上司)が退職を認めない、話し合いを避けている場合でも、こちらから熱心にアプローチを続けてください。これまでお世話になった御礼と今後の新しい挑戦を是非応援してもらえたら、という姿勢で話し合いの場を持ちましょう。
どうしても退職を認めてもらえない時は、各都道府県の労働相談窓口や労働基準監督署に相談することも検討します。
入社前準備
入社先からは保証人に関する書類や、住民票原本などの提出を求められます。入社日に提出してほしい書類のリストが事前に案内されるので、早めに準備にとりかかります。
会社によっては入社前に健康診断の受診も必要です。結果が出るのに1週間ほどかかる病院もあるため、計画的に受診しましょう。
スムーズな転職には複数の転職サイト、転職エージェントを利用するのがおすすめ

ここまで見てきたように、転職活動にはフェーズごとに沢山の留意点があります。スムーズな転職活動を実現するためにも、様々な転職サービスを利用してノウハウを得ながらすすめていく方法をおすすめします。
転職エージェントは、個人との相性で満足度が大きく変わります。エージェントの変更もできますが、複数のサービスのエージェントとやりとりをし、あなたに合ったサービスかどうか見極めるのも良いでしょう。
転職サイトの場合は、サイトによって求人に違いも出るため、抜け漏れが無いように複数にわたってチェックしておくのが安心です。
転職エージェントを複数利用するメリット
転職は新卒と異なり、一緒に戦う仲間がいません。企業説明会やOB・OG訪問もないので、企業の生の情報を得られる機会も限られています。インターネットを駆使したとしても、転職活動で日々発生するちょっとした困りごとや不明点を一人で解決していくのは、あまりに非効率であり困難です。
そんな時に頼りになるのが、転職エージェントのキャリアアドバイザー。求人の探し方から、応募書類のアドバイス、面接対策まで、内定が出るためのサポートをしてくれます。エージェントによってアドバイザーのタイプに特色がありますが、複数のエージェントを利用すれば、自分にあった最適なキャリアコンサルタントを選ぶことができますよ。
また複数のアドバイザーからアドバイスをもらうことで、自分の市場価値をより客観的に認識することができるので、自己分析時の参考にもなるでしょう。
転職サイトも複数利用するメリットが
沢山の転職サイトを同時に使うと、進捗管理が複雑になる。そういった不安もあるかもしれません。
しかしそれぞれのサイトに独占案件が存在するため、より多くの求人にアプローチするためには、複数利用が欠かせません。特に未経験職種にチャレンジしたいと考えている人は、即戦力性の求められる転職エージェントの案件よりも、転職サイトに掲載される案件の方がマッチします。
自分のあらゆる可能性を追求するのであれば、転職サイトも複数利用を行い、多くの求人情報を集めるように意識していきましょう。