転職活動の際に、志望動機で頭を悩ませてしまう方も多いのではないでしょうか。志望動機は転職成功を左右する鍵となるため、手を抜けません。
とはいえ新卒時の就職活動とは違い、転職では企業側からの印象も左右するので、どう答えたら良いかイメージがしづらいところでもあります。この記事では、転職において採用につながりやすい志望動機のまとめ方・書き方のコツを、例文も混じえながらご紹介します。
具体的には、
- 志望動機の例文を紹介~職業別~
- 志望動機をうまくまとめる考え方
- 面接で志望動機をうまく伝えるには?
- 目安は300文字!履歴書の志望動機の書き方とコツ
- 志望動機のNG例
といった内容をお伝えします。5分ほどで読めて、面接での志望動機の伝え方や例文、NG例について分かるようまとめています。
志望動機の例文を紹介~職業別~

手っ取り早く例文を知りたい人のために、まずは転職活動での志望動機の例文を職業別でご紹介します。実際に考えるときは、自身の経験や実績、応募する企業の業界や業務内容などに合わせて、調整するようにしてください。
営業系の志望動機の例文
私は、今までイベント会社で営業として働いてきました。そんな中で貴社の手がける広告に感銘を受け、それをきっかけに転職を決意しました。
イベントと広告に共通するのは、人々を楽しませることが出来る手段だということです。さらに広告は、社会に対して「発信する力」があると考えています。
貴社が手がけるテレビCMは、遊び心があるのと同時に、見た者に強いメッセージを訴えかける作品ばかりでとても魅力的だと感じております。私が長年の営業活動で培ってきた提案力・傾聴力を活かし、世の中に貴社の広告を広めたいです。
ITエンジニア系の志望動機の例文
私は、前職では主にアプリ開発のプロジェクトを担当していました。
しかし、「自身のスキルを高めるため、より新しい分野に挑戦してみたい」と思うようになり、人工知能を活用した開発を手がける貴社への転職を決意しました。
未経験の分野ではありますが、常に新しい技術を取り入れる風土が根付いている貴社でなら、前職の経験を活かし貢献出来ると考えています。プロジェクトリーダー経験があるため、経験を積ませていただいた後は、そういったポジションにも積極的に挑戦したいです。
飲食系の志望動機の例文
私は、前職では大手チェーンカフェ店舗にて、主にスタッフ教育を担当しておりました。留学で培った語学力を活かし、海外店舗の10店舗ほどを受け持ち、現地スタッフをおもてなしのプロに育て上げるため心を砕いてきました。
あるとき、海外の文化や食に触れる中で日本食の素晴らしさを肌で感じ、和食に精通した貴社への転職を決意しました。前職では教育業務と同時に、新しいシステムを導入しおよそ数百万円のコストカットにも成功しています。
今まで培った、接客技術・業務改善力で貴社に貢献したいと考えております。
販売・サービス系の志望動機の例文
私は、前職では20代女性向けのアパレル販売スタッフとして働いていました。そんな中で斬新な貴社のブランドのデザインに心を打たれ、転職を決意しました。
貴社は、他社にはない独自の世界観を築かれており、実際に服を購入して袖を通した時にはその質の良さにも感動いたしました。前職では接客コンテスト全国1位を受賞しております。
売上についても、店舗に在籍している10人のスタッフの中で常に1~2位の実績でした。そのスキルを活かし貴社の商品を世の中に広めるお手伝いをさせていただきたいです。
未経験職種への転職する場合の(民間企業→市役所勤務)志望動機の例文
都市部からUターンで地元に帰ることが決まった際、慣れ親しんだ故郷の地域活性化に貢献したいと思い志望いたしました。現職は、民間企業にて業務改善チームに所属しており、社員が働きやすい仕組み作りを推進しています。
去年実績では、新システム導入によりIT関連経費の前年比50%削減に成功しました。もし入職させていただけることになった際は、現職で培った経験とスキルを活かし、市民がゆとりある暮らしを送れるように業務効率化に励んで参りたいと思います。
志望動機をうまくまとめる考え方

前項では志望動機の例文をご紹介しましたが、次はそのまとめ方について解説していきます。志望動機は、転職活動において企業へ自分の魅力をアピール出来る絶好の機会です。
思いつくままに答えたり、書いたりするのは、採用担当者に自分の真意が伝わりにくくなってしまいます。ポイントを押さえた志望動機の伝え方や書き方ができるように、その考え方を解説していきます。
自分の言葉でまとめる
転職活動での志望動機は、履歴書などの紙面だけではなく面接でも話さなければいけません。マニュアル本などの受け売りをそのまま志望動機として話すと、自分の言葉ではないためどうしても相手に違和感を与えてしまうのです。
全体の構成は書籍やウェブサイトを参考にしつつ、志望動機の根幹部分はしっかり自分の言葉でまとめましょう。
「なぜその企業じゃないといけないのか」を明確に!
たくさんの会社の中から、なぜその会社を選んで応募したのかが採用担当者に伝わるようにしましょう。採用担当者は、応募者のスキル・経験だけではなく、自社との相性も重要視します。
その企業が他社とは違うポイントをピックアップし、それを軸に自分のキャリアビジョンと絡めて志望理由を考えてみてください。
数字で具体性を持たせる
数字での表現は、志望動機全体に説得力が出ます。例えば、「毎年店舗拡大を続けている御社」を「過去5年で2000店舗まで拡大した御社」と言い換えると、よく調べているなと好感を持ちませんか?
このように、志望動機に数字を用いると「具体的で分かりやすい説明が出来る人」という印象になり、面接や履歴書上でも有利に進めることができるでしょう。
企業のニーズを理解して自分の強みと紐づける
転職は、情熱さえあれば成功するというものではありません。求人を出している企業には必ず「必要とする人材像=ニーズ」があります。
それを自分の長所と結びつけ、企業へ貢献出来ることをアピールすることが大切です。そのために常日頃から自己分析し、自分の長所や短所を把握しておきましょう。
また企業のニーズを求人票や企業のWebページ、転職エージェントなどから情報収集しておくようにします。
入社後のキャリアビジョンも伝えよう
キャリアビジョンとは、「将来自分がなりたい理想の姿」のこと。志望動機で、経験を積んだ後の具体的なキャリアビジョンを示せば「長く自社で働いてくれそう」と思ってもらえる可能性があるのです。
例えば、「国内の店舗で経験を積ませていただいた後は、海外への店舗拡大に力添えしたい」というように、将来を見据えていることをアピールしましょう。「ゆくゆくは経営管理業務に携わりたい」など、やりたい職種が決まっている場合はそこにフォーカスして志望動機を組み立ててみてください。
具体性の高いキャリアビジョンであればあるほど、説得力が増します。
面接で志望動機をうまく伝えるには?

転職活動で、最大の山場と言ってもいいのが面接です。
せっかく考えた志望動機も、面接での伝え方で失敗してしまうと台無しになりかねません。そこでこの項目では、面接で志望動機をうまく伝えるポイントを解説していきます。
早口にならないように余裕を持って話す
面接は、大半の人が緊張してしまうもの。そのため覚えた志望動機を完璧に言おうとするあまり、どうしても話すスピードが早くなりがちです。
話すスピードが早くなると、自分の頭がついていかずに次に話すことが思い浮かばず沈黙してしまったり、思ってもいないようなことを口走ってしまう可能性もあります。
結果として、聞いている相手にネガティブな印象を与えてしまったり、そもそも面接官がこちらの回答を聞き取れなくなる危険性があるのです。それを回避するため、面接では自分でも少しゆっくり過ぎると感じるくらい、落ち着いた話し方を心がけましょう。
相手の質問の意図を汲み取れるようにする
転職活動の最大の山場とはいえ、基本的に面接はコミュニケーションの場です。志望動機をハキハキと話しアピールすることももちろん大切ですが、同時に「聞く力」も試されます。
特に、あらかじめ返答を用意していなかった質問をされた時が正念場。思いもよらない事態に動揺してしまい相手の言葉を理解できず、本題から逸れた返答をしてしまうという失敗はよく聞くケースです。
話す力だけでなく聞く力を含めたコミュニケーション能力が、採用には大きく関わってくるのです。面接練習の機会があれば、相手にアドリブの質問を織り交ぜてもらうなど、耐性をつけておくようにしましょう。
緊張した時の対策も用意しておく
「緊張すると、頭が真っ白になってしまう…」と、面接が不安な方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかしいくら面接の練習をしたからといって、緊張をゼロにできるものでもありませんよね。
その対策としておすすめなのが、「緊張した時にアイスブレイクする手段」を持っておくこと。面接官への返答に詰まった時などに、緊張していると笑顔を交えながら正直に話してしまったほうが雰囲気が軽くなります。
例文
「申し訳ありません。御社に入社したい思いが強いあまり、緊張してしまっておりまして。」
「すみません。御社の大きなビルに圧倒されて、緊張してしまっております。」
「すみません。久しぶりの面接で緊張しておりまして。昨日もなかなか寝付けなかったんです。」
すこし心を開いたトークをすると、面接官も悪い印象を持つことはないはずです。「時間をください」といって真面目に切り抜けるより、ピンチをチャンスに変えることができるでしょう。
目安は300文字!履歴書の志望動機の書き方とコツ

多くの人が頭を悩ませるのが、履歴書の志望動機の書き方だと思います。履歴書の志望動機の文字数は「300文字前後」が一般的。
この300文字の志望動機をどんな書き方をするかが、とても重要なのです。これからご紹介するポイントを押さえれば効果的な志望動機をまとめることができます。
例文も併せて、ひとつずつ見ていきましょう。
転職活動において、履歴書や職務経歴書について不安を抱えていたり、疑問を持っている方はいませんか?特に初めての転職だと、いろいろな事が不明瞭だと思います。この記事では、そんな方に向けて下記について詳しく紹介していきます。 履[…]
書き出しは現在の仕事・経験を簡潔にまとめる
書き出しは、前職・現職の仕事内容、そこで得られた経験やスキルを簡潔にまとめましょう。そこから転職したいと感じた理由、つまり志望動機に繋げていくと面接官も理解しやすくなります。
書き出しの例文
前職では広告代理店の営業事務を担当しておりました。少数チームだったため、日々の業務の中でマルチタスクを正確にこなす力を身につけ、多くのスキルを身につけることが出来ました。
しかし自分のキャリアを考えた際に、よりシビアに広告の専門性を極められる環境に身を置きたいと思い転職を決意いたしました。
PREP(プレップ)法の活用も有効
志望動機は、上記の通り経験・スキルから書き出して、わかりやすくストーリーを組み立てることポイントです。
しかし「話をまとめることが苦手」という方もいるでしょう。そんな方は、「PREP法」という方法を用いて志望動機を仕上げるのがポイント。PREP法とは、結論・理由・具体例・結論の順で、文章を組み立てる方法です。
例えば、
「私が御社を応募したのは、新しいことにチャレンジできると考えたからです。(結論)
御社のことをホームページで企業理念などを拝見して、チャレンジすることに重きを置いている社風を強く感じました。(理由)
いままでは営業職として、昨対比120%の売上をあげてきましたが、会社方針では新規業界への進出よりも既存顧客の拡大に重きをおいていました。しかし変化の早い現代で、新しい業界や事業にチャレンジすることが会社の安定や成長につながり、ひいては自身の成長ややりがいにもつながるという思いが強くなりました。(具体例)
もし御社に入社させていただけた際は、いままで培った営業力を活かしながら、新しいことに積極的にチャレンジし、しっかり会社に利益を生み出せるように尽力したいと考えています。(結論)」
という流れで文章を展開します。
上記の書き出しからなら、前職で得たスキルや実績を述べやすくなりますよね。PREP法を使えば、文章を考えるのが苦手な人でも、しっかり要点を押さえた志望動機をまとめられるでしょう。
転職理由は前向きな内容を意識する
転職する理由は人それぞれですが、志望動機はポジティブなものになるように意識しましょう。後ろ向きな人を採用したいという企業はもちろん存在しないので、ネガティブな理由でも最大限ポジティブに言い換えることが大切です。
例文としては、「会社の人間関係が嫌で転職を決めた」という転職理由なら、「前職では個人業務がほとんどだったので、チームで目標を達成する楽しさを味わいたい」と言い換えることが出来ます。このようにネガティブになりがちな転職理由は、前向きな伝え方に変換するように意識してください。
提出形式に合わせて文字数を調節する
転職の際の志望動機は、会社によって下記の方法に分かれます。
- 履歴書に、200〜300文字くらい記入可能な欄に書く場合
- 職務経歴書に書く場合
- 履歴書と職務経歴書とは別に、A4程度の大きさの用紙にまとめる場合
履歴書に志望動機を書く場合がもっとも文字数は少ないですが、伝えたいポイントを最低限に絞る必要があります。その分、表現方法や文法、ストーリーの組み立てに工夫をして良い志望動機をまとめましょう。
志望動機のNG例

この項目では、志望動機のNGな例を4点ご紹介します。
あまりにもマニュアルのままの内容である
当然ですが、書籍などで「良い」とされる志望動機をそのまま使用してはいけません。
または、少し単語を言い換えただけでも、目の肥えた採用担当者には「誰かの受け売りだな」と勘づかれる可能性が高いです。ましてや面接となれば、自分の言葉ではないことが、よりバレやすくなってしまいます。
例文はあくまで参考程度に留めつつ、自分の中にある言葉で志望動機を考えましょう。
全体的に受け身な姿勢である
「学ばせていただきたい」「成長できると思いました」といった受け身な姿勢は、他人任せな印象を持たれてしまいます。企業は貢献してくれる人材を探しています。
勉強してもらうために、あなたを採用するのではありません。その根本を忘れずに、自分の経験やスキルを絡めて「何が出来るのか」をアピールしつつ、成長したい姿勢を見せましょう。
志望動機が短絡的
短絡的と捉えられかねない志望動機は避けたほうベター。例文としては「家から近い距離にあるから通いやすい」や「残業がないと聞いたから」といったものです。
上記のように求人の表面しか見ていないような志望動機だと、「会社自体には興味がないんだな」「思考力や洞察力の無い人材だな」などと悪い印象になりかねません。志望動機は企業や業界、職種のことを深く理解した上で、その会社に感じた魅力や貢献できることを述べましょう。
給与・待遇面に言及してしまう
志望動機には休暇や福利厚生に関する内容の記述もNGです。仮に本心だとしても、志望動機ではプライベートに関する内容は含まないようにしたほうがベター。休暇や手当などに言及してしまうと、特に印象が悪くなる可能性があります。
もちろん気にすることは悪いことではありませんが、企業が欲しいのは自社に貢献してくれる人材なのです。福利厚生についてなどはインターネットで情報収集し、志望動機では企業にフォーカスした内容を考えましょう。
まとめ
これまで、転職のための志望動機の書き方・話し方のコツについてご紹介しました。特に重要なポイントをまとめましょう。
- 志望動機に具体性を持たせるには、数字で表現することを意識する
- 志望動機の書き出しは「経験・スキル」から
- 面接での志望動機は、自分の言葉で伝えよう
- 履歴書での志望動機の書き方は、300字前後が一般的
- 志望動機の伝え方は、PREP(プレップ)法を活用してみよう
- 転職理由は前向きな伝え方に変換するべし!
- 緊張して言葉に詰まってしまったときの対策も持っておこう
- くれぐれも仕事よりもプライベートや福利厚生を優先していると思われないように
志望動機は、面接や履歴書の中で最もメインになる項目。
つまり志望動機の書き方、伝え方次第で採用・不採用が大きく左右されるといっても過言ではありません。この記事の例文をもとにして、自分の言葉で納得できる志望動機を考えてみてください。採用担当者に思いが伝わる志望動機で、転職を成功させましょう!
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