転職したら月収や年収は上がるのか、それとも下がるのか、とても気になりますよね。具体的な希望年収額をイメージしている人にとって、給与交渉の方法はぜひ知っておきたいノウハウです。
この記事では、給与交渉はいつどのように行えばいいのか、そもそも給与交渉は可能なのか、給与交渉の具体的なやり方と注意点を丁寧に解説していきます。
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転職活動で給与交渉はしてもいい?

新卒社員は一律の賃金でスタートしますが、中途社員は入社時の月収・年収が異なるのがほとんどです。これは、中途社員の個々の能力や職務によって給与体系が変わることと、転職時に給与交渉をすることが可能だからです。
中途入社ではどのようにして月収・年収が決まるのか
求人票には月収○万円~○万円のように給与の幅が書かれており、内定時にはこの給与幅の中から給与が提示されます。提示される給与の決定要素は以下の2つです。
- 現職(離職中なら前職)の月収・年収額
- 面接での評価
基本的に、転職者の生活水準がこれまでと大きく変わることのないよう、企業は前職の給与を考慮した給与提示を行ってくれます。
しかし、最終的には面接の評価次第となります。人事制度の整った企業では等級(グレード)制度を導入しており、能力・職務・役割などでランクを分け、応募者がどこに該当するのか査定を行います。ランクが1つ上がるだけで年収は大きく変わるので、少しでもよい位置からスタートできるよう面接で自分の強みを積極的に自己PRすることが重要です。
転職時における給与交渉にはリスクも多い
転職時の給与交渉には以下のように3つのリスクも伴いますので事前に確認しておきましょう。
内定を見送られる
応募者側の希望年収と提示年収に大きな乖離があることがわかったら、企業は他の候補者を探すという選択肢を取ります。希少性の高いスキルを持っているか、面接でよほど高い評価を得ていない限り、内定を見送られてしまうリスクがあります。
お金に執着する人というレッテルが貼られやすい
給与に関する質問ばかりをすると、お金で仕事を選んでいるという印象を持たれやすくなり、人物評価においてマイナスに響くリスクがあります。
金額に見合った成果を要求される
月収・年収の上昇に連動して、入社後に求められる行動レベルも上がります。周囲の期待値や高まるプレッシャーに応えられるかどうかの覚悟も必要でしょう。
給与交渉が成功するケースとは
給与交渉は誰もが成功するわけではありません。以下のケースを満たしている場合のみ、と考えてください。
- 企業の採用熱度が高い(欠員募集など採用の緊急性が高い)
- 応募者の即戦力性が高い(業務内容との親和性が高い、難易度の高い資格を保有している)
この両方、もしくは片方でも該当していれば勝算はあります。どちらも該当しておらず、聞くだけきいてみようという姿勢で交渉を始めると、面接官の心証を大きく損なうので注意しましょう。
給与交渉前に準備しておくべきこと
実は、自分の収入額を正確に把握している人はそう多くありません。転職を機に年収を上げたい人や希望年収が明確に決まっている人も、まずは自分の収入額を正しく把握することが最初のステップです。直近一年間の年収・月収・賞与額を細かく調べ、下記の数式を成立させておきましょう。
金額はすべて税込み(税引き前)の数字を使い、交通費は月収に含めません。残業代は平均値で構いませんが、何時間分の残業代に相当する金額かを調べておきましょう。
これ以外に住宅補助や単身赴任手当、福利厚生の一環で支給されている金額など、会社から与えられているものは全て書き出して把握しておいてください。給与交渉がまとまりかけたタイミングで、忘れていた手当などを後出しすることは極力ないようにしましょう。
収入の自己申告ではトラブルに注意
応募時や選考途中では現職収入は自己申告になり、企業は応募者の申告額から待遇面を決定します。ただし、内定前後や入社後のタイミングで源泉徴収票を提出することになるため、企業側は応募者の申告額が正しいか確認することができます。
もし、自己申告した額と大きな違いがあれば、虚偽申告と判断されトラブルに発展することがあり、最悪のケースでは内定取り消しとなる可能性もあります。
応募の段階で源泉徴収票を用意できない場合は、給与明細・賞与明細・銀行通帳などで、できる限り正確な収入額を把握するように努めましょう。
入社意志が低いのに給与交渉するのはNG
当然ですが、給与交渉をするということは「希望金額が叶えば入社する」という意思を示していることになります。企業の給与金額の決定には面接官・人事・決裁者(役員)など様々な人が関わり、給与交渉に応じるのはあなたに入社してほしい気持ちがあるからこそです。
入社意志が低いのに興味本位で給与を釣り上げ、最終的に他の内定先を選ぶという行動は、企業の厚意を無にします。もちろん、他社との比較してギリギリまで迷うケースもあるでしょうが、交渉は慎重に始めるべきです。
給与交渉の開始のタイミングと希望金額の伝え方

給与交渉を成功させるためのコツは、タイミングと伝え方にあります。
給与交渉を始めるのは内定が見えてきたら
一次面接で給与の相談をしてしまう人がいますが、これはあまり好ましくありません。
面接官が人事なら別ですが、課長クラスの現場責任者なら会社の給与体系にそこまで詳しくなく、年収を決める権限もありません。月収・年収は二次面接、三次面接の評価で決まってくるので、一次面接で年収について細かくやりとりすることに大きな意味はないのです。
給与交渉は最終面接または内定後入社受諾前のタイミングで行いましょう。内定後の給与交渉は難しいという話も聞きますが、そんなことはありません。人手不足という景況感もあり、本当に来てほしい人材には再稟議・再決裁という手続きを踏んででも新たな条件を提示するでしょう。
給与交渉には交渉材料が必要
交渉を成功させるためには、以下のようにその金額が欲しい具体的な理由を用意しておき、企業側に伝えると良いでしょう。
<例文あり>給与交渉の具体的な伝え方
日本の企業の採用担当者、特に内資企業の人事は、外資企業に比べて年収交渉されることに慣れていません。理由も伝えずに「○万円は絶対必要です」と要求をそのまま伝えると、担当者は違和感を感じてしまいます。
このようなケースでは、交渉と感じさせないような、遠回しな表現を使って希望を伝えていきましょう。相手が耳を傾けてくれるよう、謙虚な姿勢を見せることも大切です。
(例)最終面接で何か質問がないか聞かれた場合の文例
「○○円じゃないと入社できない」とはっきり伝えなくとも、理由を添えて相談するスタイルをとることで「下限値はいくらでお願いします」というメッセージを企業側に送ることができます。下記の文例を参考にしてみてください。
年収について、ご相談があります。もしご縁を頂いた場合の、想定月収・年収について教えて頂けないでしょうか。内定を頂く前で恐縮ですが、実は来年結婚を控えていまして、現年収程度はどうしても維持したいと思っております。求人票には○万円~○万円と記載されていましたが、どのあたりの金額になりそうか、もし可能でしたら教えて頂ければ幸いです」
給与交渉の成果には様々な形がある
給与交渉をして希望金額に満たなかったとしても、以下のように給与以外の項目に関する代替案が提示される場合があります。
- 今すぐは難しいが試用期間後に月給を○万円アップする
- 転職に伴う引っ越し代を補助する
- 入社一年目だけ家賃の○%を補助する
どの名目で支給されたとしても、得られる可処分所得(会社より支払われる報酬から税金などを抜いた、自分の意思で自由に使えるお金)が希望金額に届くのであれば、結果として年収交渉は成功といえるでしょう。
印象が良くない給与交渉のNG例
給与交渉は、やり方を間違えると自分の評価を一気に下げてしまう危険性があります。代表的な例を4つ挙げておきます。
一次面接で給与交渉を始める人
前述したとおり、一次面接で自分から待遇面の話を切り出すのは危険です。お金に執着しているという人という印象を持たれますし、そういった人物評価は仮に入社してもずっとついてまわります。
一次面接はどの程度当社に貢献してもらえそうか見極めている最中で、交渉を始める時期としては早すぎます。給与交渉は二次面接以降で行うのが良いでしょう。
未経験なのに給与交渉を希望する人
転職市場では、未経験者よりも経験者が優遇されます。取り扱い商材や取引先など、前職の経験をそのまま生かせるのであれば、大きな交渉材料となります。
一方、業界も職種も未経験の人は育成してもらう立場になるため、現職給与の維持に固執しすぎると、人事担当者の心証を大きく損なう可能性があります。
求人票の上限値や業界水準を超えた額を要求する人
いくら高い即戦力性があったとしても、企業側には提示できる給与の限度額があります。求人票に記載されている上限値や、業界水準よりも明らかに高い金額を伝えてしまうと、企業研究不足、業界研究不足と捉えられてしまうので注意が必要です。
とにかく稼ぎたいと懇願する人
自分の給与に限らず、あらゆるモノの価格は需要と供給のバランスで決まります。必要性や稀少性といった価値が高ければ高いほど、価格は上昇していくものなので、自分を高く買ってほしいのならば、しっかりと自分の能力・スキルを伝えましょう。
ただ稼ぎたいと前のめり気味に伝えても、企業からの理解は得られません。「結果を出してから」と一蹴されてしまうだけです。
年収交渉に自信が無い人は転職エージェントを利用してみよう

年収交渉に自信のない人は、転職のプロに相談してみましょう。転職エージェントなら、相談だけでなく交渉そのものを代行してくれます。
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あなたの経歴ならいくらぐらいの提示を受けるのか、過去の内定例からどのあたりまで伸ばせる可能性があるか、担当アドバイザーに情報収集を依頼するとよいでしょう。
わずらわしい交渉事を一手に引き受けてくれる
「給与交渉をしたら評価が下がらないだろうか」「この金額を伝えてもいいのだろうか」という不安も、転職エージェントで解消できます。
転職エージェントを介して応募した企業は、面接の場で自分から年収について質問をしなくとも、担当者が最適なタイミングで企業に交渉をしてくれます。給与交渉の悩みから解放され、その分の時間を面接対策に充てることができるでしょう。
まとめ
転職活動中でも給与交渉は可能ですが、すべてが成功するとは限りません。企業側の採用熱度が高く、あなたのスキルや経験が即戦力として生かせるときに限って、勝算があると考えた方がよいでしょう。勝算があってもタイミングや言い方を間違うと、積み上げていた評価を失うリスクがあるので、十分な注意が必要です。
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