転職活動をするときに悩みがちな「自己PR」。面接や履歴書での自己PRが苦手という人も多いでしょう。
良い自己PRを考えるのは難しいですが、自己PRは企業にとっても採用・不採用を決める重要な判断材料となります。転職活動を成功させるためには、企業から評価を得られる良い自己PRを準備しておきたいものです。
今回は、転職における履歴書・職務経歴書の自己PR欄のコツ、面接時の自己PRのコツを解説していきます。
履歴書・職務経歴書の自己PR欄のコツ

まずは職務経歴書・履歴書の自己PR欄の書き方から、具体的にどのような点に気をつけるべきか解説していきます。
企業のニーズとあなたの長所を繋げよう
自己PRでは長所や強みをただ書き並べていくだけでは意味がありません。「企業の求める人材と合致している」ことをアピールするのが大切です。
そのためには、応募する企業のニーズを前もって知っておく必要があります。企業が希望する人物像は、求人情報だけでなく企業のホームページも確認しましょう。ホームページのほうが情報量が多く、求める人物像をよる深く読み取ることができるはずです。
企業のニーズを調べたら、それがあなたの長所・強みと繋がることを経験やエピソードとともに書きましょう。企業の求める方向性とマッチしていれば、面接官の心にも響く自己PRとなります。
どのように会社に貢献できるか
新卒の就職活動と違って、転職活動では企業側に即戦力を求められるケースが多くなります。そのため、転職での自己PRでは前職での経験、課題をどんな工夫で乗り越えてきたのか、得られたスキルや学びをアピールする必要があります。
とはいえ、いくら輝かしい功績があっても「どのように会社に貢献できるか」が明らかでなければ魅力的な自己PRではありません。長所を繋げることと同じく、具体的にどの点で企業に貢献できるかを意識して自己PRを作りましょう。
情報を集める段階で「この業務にはあのときの経験が活かすことができるかな?」と企業側の視点で考えることが大切です。
ひとつの文章が長くならないようにする
文章が長くなり過ぎると、伝えたいことがよく分からなくなってしまいます。文章の意味がわからなければ、「文章力がない」「論理的な説明力がない」などと判断され、良くない印象を与える可能性もあります。
自己PRの一文は、40文字程度に収めるとまとまりの良い文章になるでしょう。長くても50文字程度までにしておきましょう。
また、句読点の位置などにも気をつけると、文章全体のリズムが良くなり読んだ相手に要点が伝わりやすくなります。
文章の流れにも気を配る
書類に記入する際は、文章の流れにも気を配りましょう。文章の流れに配慮できていれば、「論理的」「要点をまとめられる」など良い印象を与えることができます。
おすすめの流れは、「結論→根拠→具体例」です。長くなりすぎない程度に具体的な数字やエピソードをしっかり書くと、説得力が増すでしょう。
面接時の自己PRのコツ

就職活動でも転職活動でも、面接では必ず自己PRの時間があります。転職時の面接は、新卒時と比べて求められることが違うことを考慮しつつ、ポイントを押さえてアピールしましょう。
結論から話し始める
面接での自己PRで大切なのは、とにかく分かりやすいこと。そのためには、内容が伝わりやすい順序で話すことが大切です。
どれだけ素晴らしい長所があっても、それが面接担当者に伝わらなければ意味がありません。以下のような順序で話すと効果的です。
- 強み・長所(結論)
- 裏付けとなる経験・エピソード(根拠)
- 企業でどう活かせるか(具体例)
最初に結論となる自分の強み・長所を持ってくることで、面接官は話が理解しやすくなります。次に根拠を話すことで、説得力を持たせることができるでしょう。
この流れを頭に入れておけば、面接時に緊張で内容が飛んでしまうようなケースも少なくなるはずです。
アピールポイントは簡潔にまとる
アピールポイントは詰め込めばいいというわけではありません。強みや長所をいくつも並べると、それぞれの根拠が薄くなって説得力が無くなります。アピールポイントはなるべく1つ、多くても2つにしておくのがおすすめです。
3つ以上になると「結局この人の長所はなんだろう?」と面接官へのアピールポイントがぼやけてしまいます。面接では実際に話すことをイメージして、まとまりのある内容を考えておきましょう。
選考書類の自己PRに書いていないことをプラスする
履歴書・職務経歴書に書いた自己PRの内容と同じことを話すだけでは、事務的で面白みの無い印象を与えてしまう場合があります。
そこで、選考書類のPRにもう1要素プラスしてみましょう。予想していたよりプラスの要素が出てくると、面接官の印象に残りやすく、期待感を持たせることができるでしょう。
自己PRの悪い例と改善ポイント

自己PRの悪い例と、改善ポイントをあわせて紹介します。良い例よりも悪い例を知ることで、ダメなところに気づくことができるようになり、自己PR作成のコツを掴むのが早くなるでしょう。
悪い例 その1
私の長所は、時間に厳しいところです。前職では、早寝早起きを心がけて誰よりも早く出社していました。
すると、上司から「出社がいつも早いね」と褒めていただくことが出来ました。他の先輩からも、朝早くから出社して自分の仕事に取り掛かる責任感の強さに感心されたことがあります。
その姿勢は忙しい月末も変わらず、前日に残業で帰宅が遅くても定時の1時間前には出社していました。結果的に、他の社員より残業をせずに帰宅することが出来ていました。
もしご縁があり貴社に入社させていただいた際は、誰よりも早く出社して仕事に真摯に取り組んでいきたいと思います。
ダメな点と改善ポイント
この自己PRのダメなところは、「社会人として当たり前のことをアピールしている」点です。
「結論→根拠→具体例」と話す流れはできていますが、アピールしている内容のレベルが少し低いと思われる可能性があります。早寝早起きは社会人として当然ですし、根拠も「褒められたこと」に重きを置いていて、具体性に欠けます。
自己PRで取り上げるエピソードは、経歴の中でもレベルが高いものを選びましょう。極端な例ですが、「英検3級を取った」ことをアピールしても強いエピソードにはなりません。
長所はありきたりな内容を避けてできればオンリーワンなもの、根拠となるエピソードは課題をどうクリアしてきたか、などを具体的に話せると説得力が増します。
悪い例 その2
私は、前職にて社内サークルの代表を務めていました。
就任した当時は、人数が少ないばかりかサークルの参加率も低く、いまいち盛り上がりに欠ける状態でした。もう少しでサークルを閉めなければいけないのではないかという局面に立ったこともあります。
そこで自分なりに行動し、参加人数を大きく増やして、社内でも人気のサークルにまで勢いを押し上げることが出来ました。
もしも貴社に入ることが出来ましたら、この経験を活かして社内を盛り上げていこうと思います。
ダメな点と改善ポイント
この自己PRのダメなところは、「結局、長所が何なのか分からない」点です。
エピソードから話し始めているせいで全体がぼやけた印象になっていますし、経験で活かした長所、どう考えどう行動したのかなどの具体性もありません。具体性に欠けるPRは「結局あなたの強みはどこなの?」と思わせてしまい、結果として何も印象を残せないので気をつけましょう。
また、業務ではないサークル活動の話は、自己PRで話す経験・エピソードとしてあまり適さないでしょう。
この悪い例を踏まえて、下記の3つを改善することで印象が大きく違ってきます。
- 長所・強みを最初に伝える
- 持ち出すエピソードは業務に関係した内容にする
- 課題に対してどう改善したのか具体的なエピソードにする
悪い例 その3
私の強みは、行動力があるところです。
前職ではチームリーダーを担当しており、もともとバラつきのあったチームの人員を率先して引っ張っていました。業務で与えられた課題においても、常にリーダーシップを発揮して、部下の誰よりも積極的に行動して解決してきたつもりです。
私の仕事に対する姿勢が上司にも評価され、担当するチームは社内でもトップクラスの成績を収めていました。その功績を得られても私は慢心することなく、他のチームに対しても悪い点が見受けられたらすぐに指摘し、改善するため積極的に行動していました。
ご縁があり入社することが出来ましたら、持ち前の行動力をさらに向上させて、貴社に貢献いたします。
ダメな点と改善ポイント
この自己PRのダメなところは、「提示した長所・強みを裏付ける根拠が薄い」という点です。
トップクラスの成績を収めた功績や、他チームの改善に対して積極的に動いた経験を根拠として挙げたのは良いポイントです。しかし、そこまでの道筋が抽象的で、良いエピソードであるにも関わらず自己中心的に動いているように感じられてしまいます。
この悪い例を踏まえて、改善すべきは下記の3つです。
- 根拠となる経験やエピソードは、数字を用いて可能な限り具体的に表現する
- 自分を中心に置いた内容は、自己中心的な印象を与えがちなので気をつける
- 周囲の人との協調性や協力して成し遂げたことをアピールするのも良い
根拠を提示する場合は、なるべく数字で表すと説得力が増します。下記の例のように、ひとつでも数字を入れ込んでみましょう。
長所・強みをどれだけ声高に伝えても、それを裏づける根拠に乏しい自己PRは面接官の心には刺さりません。なぜ長所・強みと言えるのか、具体的なエピソードや数字などの実績・成果を提示して中身のある自己PRにを心がけましょう。
まとめ
転職活動における自己PRでは、あなたの長所や強みが企業でどう活用できるのか、「結論・根拠・具体例」という流れで具体的に伝わるようにしなければなりません。
「自分の長所が分からない」という人もいるかもしれませんが、長所・強みはどんな人も持っています。うまく整理ができない人は、転職エージェントなどに自己PRの作り方や自己分析のやり方を相談をしてみることをおすすめします。
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